アドレスV100最強プロジェクト

カメレオンファクトリーの十八番!と言えば中排気量クラス80や90100ccと言った一見中途半端なこのクラスが私達は、大好きなのです! 色々なメディアで紹介されているパーツ私達のこだわりから生まれてきます。 世間では新型エンジンを搭載した100〜110ccクラスのマシンが巾をきかせていますが、私達は、なんと言ってもこのクラスをメジャーに押し上げた功労者!「アドレスV100」に未だ可能性を求めています。

もちろんYAMAYAやHONDAの新型エンジンにも興味をそそられますが、なんとも大人しくおよそ流行らないスタイルだったV100を今でも「最強!」にしたいではありませんか!!

ここでは色々な角度からV100を分析し、まさに「最強!」を作り上げるまでの道のりを公開しています。

   アドレスV100全水冷ユニット

今回ここに紹介するのは、カメレオンファクトリーが、開発した、「アドレスV100全水冷ユニット」だ!

最強の名に恥じないエンジンユニットにする為、私達はまず第一に水冷化を目指しました。もっとも安定したエンジンは常に一定の温度を保った物だからです。その為にアルミシリンダーはアルゴン溶接と言う高度な技術でジャケットを成型し完全水冷化。更にアルミブロックから燃焼室(カメファクオリジナルの半球形ドーム型燃焼室)を削りだし、これをジャケット加工したSPLシリンダーヘットを製作! これらを最強エンジンの核とし、更にエンジン内部各ポートの見直し、ストローク設定、ボア設定の見直し等各部品を一から製作、フルパワーアドレスV100を製作していきます。

先ず最初に私達が取り込んだのは、このV100のエンジンをバラして徹底的に検証することでした。 その結果SUZUKI特有のOILラインに高出力化時における不具合を見つけました。 このOILラインを改造するのですが、言うとやるとでは大違い! 大変ややこしい個所になります! しかしこれを克服しない限りV100を強力にチューンした場合必ず問題が起きます。 まずはこの難問に挑みます。

難問積み!

まずは、右に写真をご覧あれ!エンジンを下ろし、シリンダー、リードバルブ類を取り外すとポカンっと、吸入口が空いてます。四隅の穴はリードバルブをマウントするネジ穴ですが、あと二つ穴があいてますね。これが問題のOILライン穴です。OILポンプから吐き出されたOILは二股に分かれこの中にダイレクト供給され、クランク軸受けベアリング給油されます。通常、この機構はあまり無く(SUZUKIだけ??)クランクケース内に軸受けベアリングにとどく大きな穴が左右に開いていて、吸入された混合ガス(の中の混合OIL成分)がダイレクトに降りかかる様な構造になっています。

超高回転化を狙うエンジンなれば、やはりスタンダードな給油方式(レーサーもこの方式)のほうが無難。しかももしこのままで行くと、OILポンプが高回転時にすごい回転をすることになり、ここからくるトラブルが用意に予想出来ます。作業はまず、クランクケースを割ってクランクを取り出し(クランクはロングストローク化の為ばらす)クランクケース(左右)の内側を大幅加工!新しくラインを作る所から始めます。

さて、エンジンを作る方向も見えてきました。早速工場でクランクケース加工の検討に入ります。スクーターのクランクケースは、片一方がスイングアームの役割をもつ構造になっているのが一般的ですが、この「片一方」が曲者です!なんといっても新しいOILラインを作る為に「穴」を開けるのですが、ケースが長すぎて、損所そこらの機械では、セット出来ないのです!(要するにケースをしっかり掴んで固定出来ない!)う〜ん!困りました。そこで、この部分を外注(大きな加工が出来る専門の工場にお願いする事です)にしました。 カメファク内で内製したかったのですが、やはり大掛かりなものになるとどうしても外の力が必要です。約一週間ほど掛かるそうなので、この間にクランクの製作を進めます。

アドレスV100のクランクは、キックギヤの為に先っぽの方が細い棒の様になっています。 この棒の部分にリターンする為のギヤが覆い被さってスプリングによって往復するのです。厄介なものです。普通のクランクにはこんな物付いていません。だから、ただでさえプーリーを外す時にディープソケットが必要になる等、なにかとめんどくさい物です。 まずは、ベースになるアドレス110のクランクと比べます。右の方は良く似ているのですが左の方は絶望的です。これは加工程度の改造で取り付け!などと言う幸せは万に一つもないようです。 左半分は相当作らないといけないようです。 外周、つまりウエーブの外側は容易に加工出来そうなのでまずは、そこから。慎重にセンターを出して加工します。右半分はほぼそのくらいで使えそうです。

問題は左半分に集約されてきました。まず力の掛かる部分を実働車から計測し根元からそこまでの長さを算出します。つぎにそこまでの部分は出来るだけ、そのものから削りだして加工します。この部分に軸受けのベアリングやOILシールが付きます。仕上げはかなり重要です。NCを使って緻密に仕上げます。 そして問題はその先、クランク軸の先端部分!どうしても長さが足りませんが力の掛かる重要な部分はすでに出来ています。そこで先の方をチョップしてセンターに穴を開けます。次にクランクと同じ材質の材料から削りだした先端部分をそこに差込ます。これはちょうど水戸黄門の印籠の様に「印籠継ぎ」にするのです。繋がる部分は両方ともに少し面取りを多めに取ってありますから、後でその部分をアルゴン溶接して完璧に繋ぎます!良く冷えた後にあらためて継ぎ目の部分を機械加工して精度を出します!これで完成!後はコンロットとサイドワッシャーの問題だけです。 少しスタッフの緊張も緩みます。

ストロークを長くするっと言う事は、クランクピンの位置がクランクウエーブの外周に近くなると言う事。従って、ノーマルのコンロットやサイドワッシャーをそのまま使うと、ウエーブからはみ出してしまいます。 毎度、毎度問題が出てきて、大変です! コンロットは鏡面加工のついでにビックエンド部を軽量加工すれば良さそうですがサイドワッシャーは薄いし、小さいし、加工しにくい・・・・・・・・・・旋盤等で掴むと、潰れてしまい、サイドワッシャーの性能(表面に細かい凹凸があり、それで一定のクリアランスを維持します!)が損なわれます。困った問題です。 この問題の解決の為にかなりの時間を使いました。そして編み出した必殺技!! プレス機による外周打ち抜き作戦です! これならそのものを掴まないからつぶれませんし、薄いものですから、刃物で打ちぬけます。仕上げは手作業で慎重に・・・・・・・・そして完成!!クランクをプレスを使って組み立てます。芯だしも慎重に!!やっとアドレスV100のロングストローククランクが完成しました。 ヤッホーーーーー!

スペシャルケース成!

加工に出していたクランクケースが帰って着ました。 うーん!予定どうりの出来栄えです。早速完成したばかりのスペシャルロングストローククランクを組み込む準備をします。 まずノーマルのOILポンプがあった場所にはでっかい穴が空いてます!!ここを特殊な素材(カメファクでは伝統的に粘土で埋める!っとか表現します!)で埋めてしまうのです!A剤とB剤を混ぜ合わせるタイプで、良く一次圧縮を上げるときにも使います。良く乾かしてから、軸受けのベアリングをプレスで圧入します。左右を良く確認した後、特殊工具を使って慎重にクランクを組み込みます。センターナットをトルクレンチを使い均一に締めこんで、とりあえず完成です! どうです!?掃気の通路上に良く見かけるOIL通路が出来てるでしょう?もちろんベアリングとこの穴が交差する所には良く回りきるようにする為に細工もしてあります!OILシールを入れる作業はこの後になりますのでベアリング支持だけのクランクは、気持ち良い位良く回ります!ストロークが長くなった分だけ伸び縮みが大きくなったコンロット付け根のBIGエンドベアリング、それと軸受け部にもOILを散布します。この後OILシールを外側からこれまた特殊工具を使って組み込み、つぎは、点火系を取り付けるための台、いわゆるローターベースその他の製作に入ります。